昔から「サビ猫」は幸運を呼ぶ、と言われています。
でも「雑巾猫」と言われたりして、見ようによってはまあ汚く見えると言うか…日本では不人気なのは確かです。
でも、外国では「べっ甲柄猫」と言われてむしろ神秘的な綺麗な美しい柄、とも思われているんです。
その比較的少ないサビ猫が………こんな偶然ってあるでしょうか?
ある日シャミニヨン大須のオープン前に、ホームステイする猫さん達だけが先に来たんです。
環境に慣れてもらおうと思って。
なので、私も翌朝から世話をしに行くことにして。普通ならまだ行くことは無かったのに。
すると、インターフォンが鳴り、隣のおばあちゃんが助けを求めてきたんです。
「うちのねぇ、玄関前に子猫が…死んでるのかも、動かないの。どうしたらいい?」
おばあちゃんが朝早く気付かなければ、そして私が来ていなければ、たぶんあのまま死んでいました。
それぐらい、衰弱していました。
決して捨て猫じゃないと思います。
もし近隣の誰かが意図的に捨てたならシェアハウスの玄関前に捨てたはずです。
なのに、普通の家の、しかも玄関は少し奥まったところにある、わざわざそこには捨てていかないと思います。
玄関前にうずくまるあの子の身体は冷たく、痩せ細り、蜘蛛の巣だらけでした。
おそらく、雨続きの毎日、軒下や床下にいたんでしょう。
お母さん猫とはぐれてしまったのか、あるいは見捨てられたのか…。
必死の思いで、最後の力を振り絞って隣の玄関までたどり着いたのかな、と思います。
すぐにモフモフ動物病院に連れていきました。
体重500g。見た目は生後一カ月経つか経たないか…に見えましたが、先生は「骨格からすると、おそらく二ヶ月は経っているかなぁ…。痩せ細ってるから小さいだけでね。」
この後自分で何とかご飯を食べれるなら……でも油断できないと仰っていました。
人間に良い思い出が無いのでしょう。怯えて…震えて…でもとても愛らしい顔をしているんです。
我が家ではもう飼えない。5匹とうさぎ一羽が居ます。先住猫達にこれ以上ストレスは与えられない。これ以上飼うのは限界を超えています。
どうする?
他の誰かに里親になってもらう?
……いえ、きっと私達に、シャミニヨンに幸運を運んで来たんです。
この子が頑張って乗り切ったら、生き延びたら、この子のご飯代は私が出して、ここで皆んなと暮らしてもらおう。
名前は、妻が付けました。
サチ。
幸せになって欲しい。
そう思って、付けたそうです。
サチは、少しずつ食欲も出てきて、危機を乗り越えました。
大きくなりました。
やっと骨格に肉付きが追いついて来ました。
10日後、モフモフさんに連れていくと約900g。
ほぼ倍です!
先生も「良かったね、ノミも居ないし、排泄の状態もいいのなら、もう大丈夫かな」と。
触ろうとすると相変わらずサチは「シャッー!」と声を上げます。
でも、抱っこして身体を撫でてあげると気持ち良さそうにするんです。
そして昨日、初めて私の指を舐めてくれました。
やった!親愛の情を示してくれた!
でも今日はまた、「シャッー!」と(笑)
他の4匹はみんな、とっても人懐こいです。
一匹ぐらい、なかなか手強い子がいる、それもまたいいじゃないですか。
この子が、リオン君の時のように、少しずつ、少しずつ人間に心を許してくれるよう、焦らずゆっくりと接していこう。そう思っています。
入居される方、サチのこともよろしくお願いしますね。
唯一の女の子です。
たく