若狭物語再び⑧

いっつもラッキーな人やわ。まだイケるんやな。誰からも求められていないのに、優しい方の同情だけで続いている物語。感謝しぃやほんま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?なんや?今日は引っ張るんやな。

 

小走りで走ってきてひとしが指を刺して、あそこに誰かいる!

 

え?

 

え?

 

みんなが一斉に顔を合わせ妙にドキドキした。もしかして!!!

 

忍足でその部屋へ向かうと、真っ暗な畳の部屋に2人がいる。襖からそっと片目だけだして覗く。無茶苦茶ドキドキした。鼓動が聞こえるくらいに。

 

下にはりんごちゃんがえ?え?え?小声で繰り返す言葉が妙にドキドキした。アスカ達も何やってんだろう。みんなでドキドキした。

 

あっあれまさとだよ。あっフクミだ。

 

みんなでドキドキした。これ以上は見てはいけない気分になり、見て見ぬふりして、部屋に戻った。

 

その後襖を開けてふた部屋をひとつにして、あれ何やってるんだろう?話せば話すほど勝手な妄想で盛り上がった。

 

夏が終わるその高校最後の夏が、何かとっても期待出来る雰囲気になってきた。ドラマのワンシーンの展開になってきた。

 

まさととフクミがボク達の心に火をつけた。

 

りんごちゃんに話しかける。しかしその度に隣にもっと奥手なひとしがついてくる。必ずひとしがそばに近付いてくる。

 

ボクはどうしても、りんごちゃんと2人になりたかった。

 

しかしひとしがどうしても隣にくる。そんな時にお風呂場の鍵が締まってしまう時間が近付き、女の子達はお風呂に行ってきますと。

 

ちぇっ。心の中でひとしがいなかったらなぁ。悔しさの中、もちづきと3人で見たくもないテレビを見ては、まさとの事が気になり始める。

 

すると、またひとしが動き出す。ボクは17年生きてきた中で、一番ドキドキしてしまう経験をしてしまう。

あと2話やな。もしかしたら同情でいけるのか?しかしどんな展開なんや?これ本当の話なんやろ。17年の中で一番ドキドキしたって一体何やったんだアンタ。

 

高校3年の夏。あの日はとにかくムシムシした暑さだった。その暑さがまたボクの青春の思い出に刻まれた。

 

ボクは初めての経験をしてしまったんだ。

つづく